日本頭痛学会の発表によりますと、平成30年度診療報酬改定にて群発頭痛が在宅酸素療法の適応疾患として認められたとのことです。
国際基準よって診断された群発頭痛患者で、平均1日1回以上の頭痛発作がある場合に適用されるということです。
今後、頭痛学会では該当する診療報酬の適正な使用に向けてガイドラインを作成するとのことなので、続報がありましたらお知らせしていきたいと思います。
群発頭痛とは?
一次性頭痛(他の疾患に起因しない頭痛)の中では、もっとも激しい痛みを伴う頭痛で、目の奥からこめかみにかけて、数週間から長い時には数ヶ月に渡り断続的に強い痛みが現れます。
日常生活に支障をきたすレベルのため、早めの診断・治療が必要となります。
飲酒や喫煙、冷えや気圧の変化などによって、目の奥の動脈が拡張することが起因として考えられています。
特に飲酒や喫煙は、群発頭痛が発生する一番のトリガーになっているようです。
群発頭痛は一度発作が発生すると、一日に何度も繰り返し、長期に渡って頭痛が起こりますが、その後は治まって頭痛がピタと止まる傾向にあります。
また、頭痛と同時に鼻水や涙、まぶたの腫れなどが出ることが特徴となっています。
群発頭痛については、こちらでも紹介しています。
こんな人は群発頭痛かも・・・!?
群発頭痛の治療方法
一般的な市販の頭痛薬などが効かないことも多く、効いていたとしても繰り返し服用し続けると薬物乱用頭痛になる可能性もあります。
イギリスの医療機関によるガイドラインでは、一般的な頭痛薬で使われているアセトアミノフェンなどについて、群発頭痛の患者には処方しないように呼びかけています。
群発頭痛の場合は、一定期間で繰り返し発生するため、頭痛の起きない期間から予防薬を使用することで群発頭痛を抑える方法が取られています。
また、群発頭痛が起きてしまった場合は、急性期治療として、トリプタンやエルゴタミン、純酸素吸入が使われます。
在宅酸素療法とは
上記に示したとおり、群発頭痛の発作が現れた場合、急性期治療として純酸素吸入が行われることがあります。
100%濃度の純酸素を10~15分吸入することで、頭痛の症状が治まっていきます。
群発頭痛は、発作が始まると長期に渡って繰り返し発生しますが、発作が起こったらできるだけ早く純酸素吸入を行うのが効果的とされています。
そのため、自宅でも酸素吸入が行えるように、在宅酸素療法が行われることがあります。
群発頭痛の患者すべてに効果が期待できるわけではないため、医師の診断によって効果が認められた場合に行われます。
これまでは、肺疾患の場合についてのみ、在宅酸素療法の保険が適用されていましたが、群発頭痛の在宅酸素療法は、保険の適用外だったため高額な治療法となっていました。
しかし、平成30年度の診療報酬改定によって、群発頭痛の在宅酸素療法が保険の対象となったことで、今後はこの治療が受けやすくなると考えられます。
厚生労働省発表の平成30年度診療報酬改定の詳細は、こちらで確認できます。
平成30年度診療報酬改定について
まとめ
日本頭痛学会の呼びかけによって、平成30年度診療報酬改定の中で、群発頭痛の在宅酸素療法が保険適用となりました。
群発頭痛は、直接生命を脅かす症状ではないものの、日常生活に支障が出るだけでなく、長期に渡って繰り返し激しい頭痛に悩まされるため、精神的にもダメージを受けてしまいます。
今回このように保険適用となったことで、在宅酸素療法が群発頭痛の希望の光になってくれることを期待したいと思います。